岩谷観音

 岩手県紫波郡紫波町佐比内字片山にあり、石灰岩の洞窟にて高さ三・五米、幅二・六米、奥行八・五米、入口は楕円形にて風光頗る佳なり。

平安時代桓武天皇の延暦年中、征夷大将軍坂上田村麻呂東征の際洞窟に隠伏せし蝦夷を平定し観音像を安置して戦勝祈願と戦没士卒の冥福を祈り創立せしものと伝う。

本尊は聖観音像にして、当国第十四番札所なり。

御詠歌

ふだらくは

よそにあらじ岩谷寺

大悲の光なべて照らさん

 佐比内岩谷観音の創建は延暦中期として今から1,210年程前に創建されたと考えられる。鳳仙寺が寛文元年に館前(元寺の屋号ある付近と推察)から現在地に移して建立されたとするとお寺ができる約八六七年前からお観音さんはあったことになります。岩谷寺の堂宇所在場所は不明ですが、ご本尊が聖観世音であることから仏寺であったものを明治初めの廃仏毀釈によって廃寺とされ神格化されたものと思います。

 年代等は定かでありませんが、古くから佐比内の観音信徒有志で8月10日には鳳仙寺の和尚による法要をいとなみ念仏をあげていもました。遠野街道からの参道には幟旗がたち地域ばかりでなく近郷の観音信徒の参拝が多くあり賑わいました。境内では花相撲があり、かき氷、綿あめ、おもちやの出店もあり、時には舞台をかき股旅踊りなどもありました。夜には子ども建が行灯を吊し8月10日の観音さんの境内は遅くまで大きな桜の木を中心に夏の夜まつりでした。(菊池 清発行「ゆいっこ」抜粋)



8月10日 岩谷観音まつり




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